変わった名前の野草です。ちょっと調べてみました。「ハバ」とは葉場、すなわち草刈り場のことで、属名でもある「ヤマボクチ」は"山火口"、すなわち、火口(ほくち)は"火付け"のことですから、山で採る火付けという意味かと思います。火付けというのは火がつきやすいような細かい材料のことで、例えば綿毛(わたげ)などです。アザミの葉裏の綿毛を集めて火付けに使ったこともあったのでしょう、そんなアザミがホクチアザミです。ということでハバヤマボクチは、恐らく、草刈り山のホクチアザミという意味かと思います。枯れ花のような花ですが、その根出葉の葉裏は綿毛で覆われています。
(余談)
当HPでは、学名の命名者名は省略しています。余りにもL.(リンネ)が多すぎるためですが(笑)、例えば上記の場合、命名者名までつけると
Synurus excelsus Kitam.となり、当然のことながら日本人が命名したものもあるわけです。ちなみにカッコをつけた(Makino)は原命名者名、Kitam.は命名者名です。
Makino;牧野 富太郎(1862〜1957)
Kitam.;北村 四郎(1906〜2002)
お二人ともそれぞれ95、96才と御長命でした。
ことに牧野富太郎は「日本の植物学の父」としてご存じの通りです。
『 草を褥(しとね)に木の根を枕、花と恋して五十年 』 彼の都々逸だそうです。